舞台はかつてにぎわいを見せた商店街。お互いの家族の私生活までわかっちゃう住人たちが一丸となって、彼らにしかできない過剰なおせっかい劇で、すったもんだを巻き起こす。
肉親ならまだしも、赤の他人が自分や家族の私生活に首を突っ込んでくるコミュニティなんて、今どきない? いえいえ、この映画こそ、名古屋市にある円頓寺商店街の有志たちによって立ち上がったもので、おせっかいなストーリーの原案も、実体験に基づいたもの。家族のように隣人を思いやる人のつながりは過去のものでなく現在進行形でここに在るのだ。
核家族化が進み、さらには東日本大震災を経験した今こそ、これからの日本に必要なのは、おせっかいなまでの隣人愛。そんな古そうだけど新しいテーマを、涙と笑いのエンタテインメントに仕立て上げたのは、本作が劇場映画2作目となる新進監督・古波津陽。彼は“主役は商店街”と言い切り、アーケードというひとつ屋根の下に、店々が家族のように肩を寄せ合いながら、それぞれ活き活きと生活する様をスクリーンに映しとった。
キャストは、愛知県出身のお笑いコンビ・スピードワゴンの井戸田潤と小沢一敬、名古屋から全国へと発信するアイドルグループ・SKE48の松井珠理奈と矢神久美。 この映画を生んだ名古屋とゆかりの深い彼らが、地元の街の匂いを肌感覚で伝えてくれている。その一方で、水野美紀や矢崎滋、藤田朋子、ルー大柴ら、実力派キャストも集結し、地方の一商店街の人情物語を、人のつながりの大切さを描いた普遍的な人間ドラマにまで深めている。そして、もうひとり忘れてならないキーパーソンが、新人子役の三輪泉月。東京からこの商店街に引っ越してきたばかりの少年の役どころで、外から見た商店街のただならぬ様子を、語り手として伝えてくれる。
本作の製作・原案は名古屋駅と名古屋城を結ぶ円頓寺商店街から発信された。この界隈の住人がリアルに感じてきた人付き合いのカタチを、こうして映画化するに至ったのだが、彼らが力を発揮したのは製作面だけじゃない。撮影のために自分たちの店や住居を提供し、更にキャスト・スタッフへの炊き出しや、劇中登場する芝居小屋用の廃材集めまで、自ら汗を流して撮影をサポート!これは人のつながりがしっかりしていて、かつ地元愛に溢れる商店街だからこそできたこと。こうして完成したこの映画だからこそ全国津々浦々の商店街も活気づけてくれるはず。